Quantcast
Channel: サリー・サファイア 皆殺しのブギ
Browsing latest articles
Browse All 20 View Live

バーナード・レイン01

「……あんたをさばいたら、そのボロ車はその辺のプータローによって解体されるのさ。嬉しいだろ?」  オーガスタは言った。わざと話題を繋いで出方を待っているように感じだった。事実、サリーが何をするつもりなのか、まったく予想ができていなかった。だから考える時間が必要だった。「ボロ車とは失礼だね。一応お気に入りなんだけど」サリーは言った。 「年代物じゃないか」...

View Article



バーナード・レイン02

 廃屋が連なる工場地帯を、オーガスタが操るハーレー・ダヴィッドソンは疾走する。オーガスタは細目で堪えながら、回復しつつある視力で必死でヘッドランプが照らす道先を睨んだ。 アクセルを握りながら、オーガスタは後悔の苦痛と戦っていた。  完敗だ。ヘビ女の異名はダテじゃない。チンピラをわざと捕まえさせて油断を誘い、まんまとハメられた。有利なカードを渡した上で、なお切り札を隠し持っていたというわけだ。...

View Article

バーナード・レイン03

 傍らを擦るように通り抜けたエルカミーノの背後に向かい、オーガスタ・ヴィックスはクラッチをつないで再び強引にハーレーの車体を倒した。その方向は見事に180度回転し、今度は完全にエルカミーノを追う形となった。  ハーレーの後輪は鬼火の様に白煙を立て、ややフロントタイヤを浮かせ気味に猛烈に加速した。 バカ女め、これで最後だ。...

View Article

バーナード・レイン04

 ショーン・ガイルにとって、これまで経験した事のない長い一日が終わった。 その翌日、午前9時。  オーガスタ・ヴィックス率いる「ミューズ9」が陣取っていた馬小屋付きの屋敷。そこの門前に物々しい数台のパトカーが横付けにしていた。その回りを、さらにマスコミ関係の車が十重二十重に囲んでいた。居合わせた通行人は、瞬く間に野次馬と化した。...

View Article

バーナード・レイン05

 ミューズ9のメンバーの数人は、半分ヤクに溺れかけていた。  屋敷をガサ入れするとなれば、ボルニーノ一家の者がそれを処分するはずだが、それと同一のもの…ブツをクリスティはヤクを提供していたであろうバイニンを捕えて押さえていた。 もちろん、物的証拠にはならない。しかし有効なカードとして使える。...

View Article


バーナード・レイン06

「……例の件での打ち合わせでアポを取らせてもらいましたが、これはちょっとお取り込み中のようですな」  口を歪めたような喋り方でバーナードは言った。明らかにこの騒乱を楽しんでいるような気分がにじみ出ていた。 「騒ぎはすぐに治まる。心配は要らん」  バーナード・レインが携帯電話で話している相手は、この屋敷の表向きの主人であるアーニー・ボルニーノだった。平静を装っている様子がはっきりとわかる口調だった。...

View Article

バーナード・レイン07

 小太りで顎の下に肉を弛ませた中年男。薄くなった頭頂部を撫でながら、バーナード・レインは近くの駐車場に停めた自分の車を目指して歩いていた。  誰であろうと、相手を信用しないことにおいては、このバーナード・レインも同じだった。暴力団と政治家ならば、尚更のことだ。...

View Article

バーナード・レイン08

 そのニック&ディックの前に、中背の若い男が進み出た。  体格は、がっしりというほどもなく、女性的とも見える印象だった。しかし、居並ぶこわもてを束ねる胆力は持ち合わせているようだった。 この男はクレメンティーノ一家の首領(ドン)の三男、ダニエロだ。若頭を任じているだけあってか。鋭く獰猛さをたたえた目は、名うての暴力警官を前に臆してはいなかった。「おい、こら。この穴兄弟ども」...

View Article


バーナード・レイン09

 ノース(北地区)寄りの車道に停めたバーナードは、そのハンドルを握っている愛車のスカイラークに搭載された多機能のカーナビから、テレビのニュース画面を見ていた。...

View Article


バーナード・レイン10

 バーナード・レインにはジャンル別にネタの提供者がいる。  助手席に座ったベンと名乗るこの男、ベンジャミン・アストンは教育関係の業界紙を扱ってきたジャーナリストだが、バーナードの「悪影響」を受けてすっかりその道に入り込んでいた。...

View Article
Browsing latest articles
Browse All 20 View Live




Latest Images